第一章『どうやってネタを作るのか?』

当時、投稿をしていた時、他方からよく訊かれたのが「どうやってネタを作っているか」だ。
これは投稿をやる上で、誰もが一度はぶち当たる最初の壁と言っていい。
いや、投稿者にとって一生解けることのない問題なのかもしれない。
当の私も最初は全くネタを作ることが出来なかった。
ネタの考え方も作り方も全く知らなかったものだから、
当然の如く不採用が続き、
他人のネタを『どうやったらあんなに面白いネタを考えられるのだろう』
と思いながら聴いては、どうしようもない憤りと絶望感にさいなまれていました。
しかし、そうやって様々な番組で他の投稿者の様々なネタを聴いたことが、
いくつかの投稿のコツを見出すことに至ったのです。
それはまず第一に、とにかく「早く自分の得意分野を知ること」です。
深夜ラジオのネタの傾向は大きく、『あるある』、『自虐』、『妄想』、『芸能』、『下ネタ』の5つにカテゴライズされます。
この5つの中で自分はどれが一番強いか、
これを知ることが投稿をする上でとても重要になってきます。
スポーツでも競技によって得手、不得手があるように、
ネタづくりにも向き、不向きがあると私は考えています。
たとえば、あるあるネタが得意であるにもかかわらず、
芸能ネタに固執しているようではいつまで経っても大成はできません。
人には必ずどこかにセンスが眠っているはず。
得意なら得意で素直にそれを生かして延ばすことに精を出せばいいのです。
では如何にして自分の得意分野を見つけるかですが、
まずは色々な番組を聴き、コーナーを調べ、採用されているネタを聴き、
どれが一番自分なら書けそうかを見極め、実際に考えてみることです。
この段階では勿論、実際に送る必要はありません。
とにかく「どの分野なら送れそうかシミュレーションをしてみる」こと。
このことがネタを書く上での第一歩となるのです。
ちなみに私は投稿を始めて一年と半年程経った辺りで、
自分は妄想や自虐ネタが得意で、芸能ネタが不得意であることに気づきました。
そのときから、芸能ネタは思いついたら送る程度にまで減らし、
その分妄想や自虐ネタの量を増やしたりしました。
また、どうしても苦手な分野のネタを書かなくてはいけなくなったときは、
まず得意分野のネタを書き、頭を働かせ、気分も乗ったところで、
その弾みで苦手な分野のネタを考えるといったこともよくしたものでした。
これも私が編み出した投稿術の一つです。


さて、ここまで得手、不得手についての理論を述べてきましたが、
自分の得意分野を見つけ出すだけではネタを書くことはできません。
今度はネタの元になるネタを見つけ出す必要があります。
そこで次に重要になってくることは「日常のちょっとしたことでも何でもメモを取る」ことです。
ネタ帳を普段からカバンに入れて持ち歩き、
自分自身が、ふと『あ、これ面白いかも!』と思ったことは勿論、
たとえばクラスメートの『明日の体育、雨だったらバスケになるらしいぜ!』といった何の変哲も無い日常的な会話でも、積極的にメモしましょう。
どんな会話文、言葉、フレーズ、出来事でも一つのネタの元として捉え、
ネタ帳にガンガン書き殴っていきます。
街に出歩き、建物や人を観察してみるのも良いでしょう。
こういった日々の小さな積み重ねが、後に膨大な量を誇る自分だけのネタ帳へと変貌していくのです。
やはり人間ですから、自分だけのネタ帳というものは出来上がると気持ち良いものです。
また、それに伴い『自分は投稿者なんだ』という意識やプライドといったものも自ずと生まれてくることでしょう。
投稿者としての自覚を普段から持つことも、
ネタを作る上でモチベーションという形で役に立ちます。
いきなりそんなことできないよという人は、形から入ってみることも一つの手です。
形からでもいいので、メモ帳とシャープペンを手にとってみましょう。
話は変わりますが、07年、08年と2年連続でセ・リーグ最多勝に輝いた巨人のグライシンガー投手は、たいへんなメモ魔だそうです。
練習中や試合中は勿論、普段の生活の中でも常にメモを取ることを欠かさない野球に対するストイックな姿勢が、
好成績に繋がる要因ではないかと素人目にも見て取れます。
最初は何コソコソ書いてるんだと罵倒、中傷されるかもしれません。
しかし、寝ても覚めてもメモを取る。
このことは投稿人としてとても大切なことなので、そんなこと気にせずとにかくメモを取り続けましょう。
余裕が出てくれば、そういった他人の中傷も単なるネタとしてさっとメモり、
ネタを考えてくれてありがとうと心の中で言い返してやればいいだけのことです。
さあ、皆さんも明日からネタ帳を持ち歩いてみませんか。